超仕上げも砥石を用いる精密仕上げ法の一種です。すなわち、粒度の細
かい比較的結合度の弱い棒状砥石を用いて、割合に低い圧力で加工物に面接
触をさせ、砥石と加工物との間に相対往復運動を与えて仕上げる方法です。
砥石に往復運動を与える点がホーニングとは根本的に違っています。さらに、低い圧力で加工するため、最初悪口面が粗い間は砥粒による微細な切削作用を行いますが、面が平滑になってくると自動的に砥石が目つまりして磨き作用を行うようになります。この点が最大の特徴で、鏡面仕上が割合容易に得られます。
超仕上げの特徴、特にホーニングやラッピングに比べて優れている点をいかに示します。
① 単一の砥石を使い同じ加工条件で作業しても、砥石は自己ドレッシングと目つまりを繰り返して、容易に鏡面仕上が得られます。適当な砥石と加工液を選ぶことによって、作業の自動化が可能である。
② 加工能率が非常に良好で、普通の自動車部品の超仕上げ時間はわずかに一分前後です。これは、砥石に振動を与えるため砥粒の切削方向がいろいろに変化して砥粒の破砕の機会が多く、常に鋭い切れ刃が砥石面に現れるためです。
③ 加工面の耐摩耗性がよく、超仕上げを施した軸は軸受負荷能力が優れています。これは低圧力、低速度でしかも鋭い切れ刃で加工するため熱の発生が少なく、いわゆる加工変質層を生じないためです。また、鏡面で凹凸がないので、軸受油膜を損破することがないためです。
④ ただ一つの欠点は、砥石圧力が弱いばねまたは油圧で弾性的に加えられているため、加工物の真円度や不平坦を全面的に修正する事は困難だということです。前工程において十分にこれらの精度を出しておき、超仕上げとしては単に表面の粗さをよくすることであるといえます。